変化する国際社会の中で立役者であり続けるEU

新年となり、今日の世界が直面する政治的、経済的、社会的課題に対し、これまでとは異なる新しい見方、認識、考え方を持つ新顔が国際舞台に登場しました。こうした考えや行動は、アイデンティティーや自由、価値について世界中の大勢の人の間で議論を巻き起こしています。

欧州連合(EU)は年明けから、欧州にとってのみならず、広く国際社会にとっても重要な意味を持つ数多くの問題について、さまざまなレベルで積極的に行動しています。EUは、今春にシリアの将来に関する国際会議を国連と共同開催することを発表しました。ジュネーブで開かれたキプロス国際和平会議に欧州委員会のジャン=クロード・ユンカー委員長率いる代表団を派遣し、特別オブザーバーとして参加しました。また、地中海中央部を経由する人の移動をよりよく管理するためのさらなる施策を提案しました。

当然ながら、われわれの日本の友人やパートナーを含む世界の人々の注目は、英国が、EUからの離脱交渉開始に向けリスボン条約第50条を発動させる期限としている、3月末に向けられています。この交渉とは、英国のEUからの脱退に関する取り決めを行うためだけのもので、将来的なEU・英国関係については、現時点で予測できるものではないことに留意する必要があります。現在われわれに言えるのは、結果がどうであれ、EUは依然として世界における重要な経済的・政治的主体であり続ける、ということです。

とはいえ、EUが結束と目的意識を示していかねばならない、ということは明らかです。3月には第50条の発動だけではなく、ローマ条約調印60周年という記念すべき節目も迎えます。EU代表部では記念行事の開催を通じて、EUのこれまでの成果を振り返るに留まらず、何よりもまずわれわれの未来、すなわち人類共通の未来に関する希望のメッセージと展望を伝えていきたいと考えています。

 

ヴィオレル・イスティチョアイア=ブドゥラ
Viorel ISTICIOAIA-BUDURA
駐日欧州連合特命全権大使